大学におけるキャリア教育科目の授業例

  • 2016.04.15 Friday
  • 23:03
 前任校ではキャリア教育を担当していました。複数の科目を担当していましたが、その中でも「キャリア形成論」「ライフコース論:人生設計と生活保障」は前任校の全学共通教育科目におけるキャリア系科目の基礎となっていました。以下、そのシラバス一部となります。なお科目名は着任時に既に決まっていました。
 授業自体は、最初の15分で前回授業に対する学生の質問をB4両面にまとめ、それを配布し、その解説。次におよそ1時間は学生に問いをなげかけ、それについて考え、発表してもらう時間とそれについての質疑応答と解説(レジュメや資料を配布)、最後の15分程度が授業への質問書きといった構成にしていました。間の時間は、毎回ではありませんが、頻繁に4〜6名のグループをつくり、そこで司会を決めてもらい、その司会がグループの議論をまとめ、まとめたものを正面のホワイトボードに書いてもらうことにしていました。ホワイトボードに書いてもらうと、それぞれのグループが何を考えているのかが可視化されることと共有化が図りやすいと考えたためです。それに対して私が、それぞれのグループの議論を整理し、質疑応答し、あわせてレジュメや資料を配布し、その解説をするといった形で授業を進めていました。毎回授業をつくるときに一番悩んだのは、学生にどのような問いを投げかければいいか、です。
 前前任校でもキャリア教育科目を担当していました。その授業は学生数が少なかったため、15回授業の前半部分を文献検討にあてました(全員がレジュメを準備、それに対して毎回コメントをつけて返却)。後半部分は労働相談を行なう団体関係者へのインタビュー、もうひとつは若者支援団体関係者へのインタビュー実施を目的とし、それに向けて希望をきいたうえで学生を半分にわけ、それぞれインタビューに向けて素朴なものではありますが質問紙作成を繰り返し行なってもらいました(本当はアポイント等もやってほしかったのですが、それは私が行ないました)。そしてそれぞれのグループがインタビューを実施し、最終授業でそれについてプレゼンするという形で終えました。

【キャリア形成論】
○授業のねらい
 「5年後、10年後、それより先に私たちはどのようになっているのか」という見通しを立てることが難しい世の中になっています。本授業では、このように不安定化する社会を“したたか”かつ“しなやか”に渡るために必要とされる知識を学ぶだけでなく、どうすれば“生きやすい”社会をつくっていけるのかについて探究していきます。「キャリア」はそのための重要な視点となります。具体的には、「働くこと」「学ぶこと」「社会をつくること」という三つのテーマに区分し、授業を進めます。なお、受講者数にもよりますが、グループでの作業や議論を積極的に取り入れる予定です。

○授業計画
1.【第1部:なぜキャリアを問うのか】ガイダンス
2.【第1部:なぜキャリアを問うのか】「大人になること」を問う
3.【第2部:働くことを考える】正社員と「ブラック企業」
4.【第2部:働くことを考える】「シューカツ(就職活動)」とは何か
5.【第2部:働くことを考える】「フリーター」とは何か
6.【第2部:働くことを考える】「ニート」とは何か
7.【第2部:働くことを考える】「働かざる者食うべからず」を問う
8.【第2部:働くことを考える】基礎所得保障制度(ベーシック・インカム)と労働
9.【第2部:働くことを考える】働くことと社会参加の支援
10.【第3部:学ぶことを考える】学歴と競争
11.【第3部:学ぶことを考える】「能力がある/ない」とは何か
12.【第3部:学ぶことを考える】大学進学の意味
13.【第4部:社会をつくることを考える】民主主義と政治参加
14.【第4部:社会をつくることを考える】足元からの「社会形成 」
15.【第4部:社会をつくることを考える】全体のまとめ

○教科書・テキスト・参考文献等
 教科書は使用しません。参考文献は授業時に適宜紹介しますが、濱口桂一郎『若者と労働』(中公新書ラクレ)、宮本太郎『生活保障』(岩波新書)は学びの伴走者として最適でしょう。

【ライフコース論:人生設計と生活保障】
○授業のねらい
 学校を出て安定的に仕事の世界を渡っていくことが難しくなり、それに合わせるようにして若者が「大人になること」の道筋は不透明になりました。端的には、現在の若者は自分たちの親や祖父母世代とは異なる人生の道筋=ライフコースを歩む可能性が高くなっているということです。本授業では、「児童期」「青年期とポスト青年期」「成人期・高齢期」という区分とそれに関連する重要なテーマを取り上げることで、受講者が自らの人生設計とそれを支える生活保障について熟考できるようになることを目的とします。なお、受講者数にもよりますが、グループでの作業や議論を積極的に取り入れる予定です。

○授業計画
1.【第1部:なぜライフコースを問うのか】ガイダンス
2.【第1部:なぜライフコースを問うのか】「自己物語」の再構築
3.【第2部:児童期】経済格差と子育て・教育
4.【第2部:児童期】子どもの貧困
5.【第3部:青年期とポスト青年期】友人関係
6.【第3部:青年期とポスト青年期】親子関係:依存と自立のジレンマ
7.【第3部:青年期とポスト青年期】結婚と「婚活」
8.【第3部:青年期とポスト青年期】「若者」とは誰か
9.【第4部:成人期・高齢期】少子化の現在
10.【第4部:成人期・高齢期】家族の介護
11.【第5部:社会制度と生活保障】福祉国家と日本
12.【第5部:社会制度と生活保障】家族による抑圧
13.【第5部:社会制度と生活保障】貧困と生活保障
14.【第5部:社会制度と生活保障】「住まい」と自立・自律
15.【第5部:社会制度と生活保障】全体のまとめ

○教科書・テキスト・参考文献等
 教科書は使用しません。参考文献は授業時に適宜紹介するが、岩上真珠『ライフコースとジェンダーで読む家族』(有斐閣)、乾彰夫編『高卒5年 どう生き、これからどう生きるのか』(大月書店)が入門に最適です。
 

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